症例報告

間葉性異形成胎盤の1例

小島　史好¹　　　榎　　泰之¹　　　加藤　元一¹
岡部　英俊²

(¹京都第一赤十字病院検査部，²滋賀医科大学医学部附属病院検査部)

要旨: 間葉性異形成胎盤placental mesenchymal dysplasia (PMD）は稀な疾患であるが，部分胞状奇胎との鑑別を要し，その特徴を認識しておくべき疾患である。今回我々はPMDの1例を経験したので，その病理学的，臨床的な特徴について文献的考察を加え報告する。症例は20代後半女性。妊娠初期より胎盤に胞状病変を多数認めた。妊娠36週帝王切開にて女児を出産した。胎盤は1,200 g，絨毛膜血管は臍帯静脈枝を中心に瘤状に拡張し，割面にて内腔平滑な嚢胞が多発していた。組織学的には，これらの嚢胞は幹絨毛内のcistern形成によるもので，栄養膜細胞の増殖は認めない。

キーワード: placenta, mesenchymal dysplasia, partial hydatidiform mole, pseudo partial mole, histopathology

A case of placental mesenchymal dysplasia

Fumiyoshi Kojima¹, Yasuyuki Enoki¹, Genichi Kato¹, and Hidetoshi Okabe²

¹Department of Laboratory Medicine, Kyoto First Red Cross Hospital
²Department of Clinical Laboratory Medicine, Shiga University of Medical Science

(論文受付 2008年10月 2日)

(採用決定 2009年 1月16日)