症例報告

鼻腔・副鼻腔奇形癌肉腫（sinonasal teratocarcinosarcoma）の1例

上田　貴威¹　　　加島　健司¹　　　駄阿　　勉¹
矢田　直美¹　　　近藤　能行²　　　岡本　朋代³
安倍　伸幸³　　　平野　　隆³　　　鈴木　正志³
横山　繁生¹

(¹大分大学医学部病理学講座，²大分県立病院中央検査部病理科，³大分大学医学部耳鼻咽喉科学講座)

要旨: 67歳男性の鼻腔・副鼻腔に発生した奇形癌肉腫の1例を報告する。肉眼的に，左後篩骨洞から左蝶形骨洞・鼻腔に及ぶ易出血性腫瘍であった。組織学的には，成熟および未熟な上皮性・非上皮性成分が混在する複雑な組織像を呈し，悪性と判断できる癌肉腫の成分も見られた。また，成熟した類器官構造，未熟な器官原基を思わせる構造，ロゼット形成を伴う神経芽腫様の部分も見られた。高齢者に発生した未熟奇形腫を思わせる腫瘍で，癌肉腫の像も混在する事より，奇形癌肉腫と診断した。

キーワード: nasal cavity, sinonasal teratocarcinosarcoma, teratoid carcinocarcoma, ethmoid sinus

A case of sinonasal teratocarcinosarcoma

Yoshitake Ueda¹, Kenji Kashima¹, Tsutomu Daa¹, Naomi Yada¹, Yoshiyuki Kondo², Tomoyo Okamoto³, Nobuyuki Abe³, Takashi Hirano³, Masashi Suzuki³, and Shigeo Yokoyama¹

Departments of ¹Pathology and ³Otorhinolaryngology, Faculty of Medicine, Oita University, Oita
²Central Laboratory, Oita Prefectural Hospital, Oita

(論文受付 2007年 8月 6日)

(採用決定 2007年11月27日)