総　　説

表皮系腫瘍の外科病理診断
—— 代表的腫瘍の解説とその鑑別について —— その2

新井　栄一

(埼玉医科大学病理学教室)

要旨: 前稿と同様に，外科病理診断に役立つ情報をできる限り盛り込んで，表皮系腫瘍について述べる。必要な臨床所見を把握し，臨床情報の解釈の仕方を知ることは，マクロをみて，ミクロをみる皮膚科医との距離感を縮めることになる。本稿では，個々の表皮系腫瘍: ケラトアカントーマ，浸潤癌として，基底細胞癌，母斑性基底細胞症候群，扁平上皮癌，疣状癌，メルケル細胞癌について詳述する。頻度の高いものは概念，臨床像，病理組織像，鑑別診断，コメントに分けて詳しく記載した。また，頻度は低いものの，診断に際して知っておくとよいものは重要点のみを記した。前・後編を通じて，特に病理医に必要な臨床像と病理組織像との相関に力点を置いた。

キーワード: surgical pathology, epithelial tumors, seborrheic keratosis, verruca vulgaris, actinic keratosis

Surgical pathology of epithelial tumors: Detailed instructions and differential diagnoses of typical epithelial tumors: part 2

Eiichi Arai

Department of Pathology, Saitama Medical University

(論文受付 2008年11月10日)

(採用決定 2008年12月 3日)