症例報告

成人男性の精索に発生した富細胞性血管線維腫の1例

中村 悦子1   廣田 政志2   神崎 章之2
岡本喜一郎2   山下 克也2

(1独立行政法人国立病院機構豊橋医療センター臨床検査科,2同 外科)

要旨: 50代男性の右精索に発生した富細胞性血管線維腫を経験したので報告する。最大径10 cmの境界明瞭な腫瘍で,組織学的に硝子化を伴う小型〜中型血管の増生が目立ち,異型の乏しい紡錘形〜星芒状細胞が密に増殖しているが,細胞密度が低く粘液腫様変化や浮腫状変化が目立つ部分もあった。免疫染色はCD34のみ陽性で,S-100, α-smooth muscle actin, desmin, vimentin, ER, PgRは全て陰性であり,最終的に富細胞性血管線維腫と診断した。なおMIB-1 indexは5.8% であった。

キーワード: spermatic cord, cellular angiofibroma, angiomyofibroblastoma-like tumor


A case of cellular angiofibroma arising in spermatic cord

Etsuko Nakamura1, Masashi Hirota2, Akiyuki Kanzaki2, Kiichirou Okamoto2, and Katsuya Yamashita2

Divisions of 1Pathology and 2Surgery, National Hospital Organization Toyohashi Medical Center

(論文受付 2007年 8月 9日)

(採用決定 2007年11月19日)