症例報告

S状結腸に認められた特発性腸管嚢胞様気腫症の1例

松田俊太郎¹　　　佐藤勇一郎¹　　　高屋　　剛²
島山　俊夫²　　　浅田祐士郎¹

(¹宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野，²宮崎市郡医師会病院外科)

要旨: 78歳女性のS状結腸に認められた腸管嚢胞様気腫症を経験したので報告する。腹部膨満感を主訴に受診し，腹部単純X線およびCT検査で腹腔内遊離ガスが認められる腸管嚢胞様気腫症と診断され，S状結腸切除術が施行された。切除標本では，肉眼的に粘膜下から漿膜下にかけて多数の嚢胞様病変が存在し，腸管壁はスポンジ様であった。組織学的には嚢胞様病変の内腔は立方細胞または多核巨細胞で被覆され，免疫組織学的にCD68陽性であった。本例は基礎疾患を伴わない特発性の腸管嚢腫様気腫症と診断した。文献的考察を加えて報告する。

キーワード: colon, pneumatosis cystoides intestinalis, case report

A case of primary pneumatosis cystoides intestinalis of the sigmoid colon

Shuntaro Matsuda¹, Yuichiro Sato¹, Tsuyoshi Takaya², Toshio Shimayama², and Yujiro Asada¹

¹Department of Pathology, Faculty of Medicine, University of Miyazaki
²Department of Surgery, Miyazaki Medical Association Hospital

(論文受付 2007年10月29日)

(採用決定 2008年 1月30日)