症例報告

腸管スピロヘータ症の1例

篠原　將貴¹　　　原武　讓二²　　　神田　基信³
島　　一郎⁴

(¹済生会八幡総合病院研修医，²同　病理，³同　内科，⁴同　外科)

要旨: 内視鏡検査で偶然発見された腸管スピロヘータ症 (IS) の1例を報告した。症例は76歳男性であり，内視鏡検査で偶然下行結腸に，区域性の浮腫と発赤の集簇が見られた。結腸生検弱拡大像では軽い炎症が見られるのみであったが，強拡大で粘膜表層にびまん性の好塩基性毛羽立ちが見られ，Warthin-Starry染色で同部に銀陽性の菌を多数認めISと診断した。腸炎の症状に乏しいため，除菌はされず経過観察中である。HE染色では気付きにくい病変であり，注意が必要と思われる。まとまった症例解析が少なく，本邦における感染の実態や意義は十分解っていない。

キーワード: 大腸，腸管スピロヘータ症，Warthin Starry染色，Brachyspira aalborgi，Brachyspira pilosicoli

A case report of intestinal spirochetosis

Masataka Shinohara¹, Joji Haratake², Motonobu Kanda³, and Ichiro Shima⁴

¹Resident & Department of Pathology, Departments of ²Pathology, ³Medicine and Gastroenterology, and ⁴Surgery, Saiseikai Yahata Sogo Hospital

(論文受付 2007年 9月27日)

(採用決定 2007年11月26日)