症例報告

MIB-1陽性率が高値を示した甲状腺低分化癌の1例

太田　　諒　　　前川　秀樹　　　森　　正樹
今村　好章

(福井大学医学部附属病院病理部)

要旨: 濾胞癌型甲状腺低分化癌の1例について報告する。症例は52歳女性で，甲状腺左葉に長径約3 cm，右葉に約1 cmの腫瘤性病変がみられた。組織学的に，左葉の病変は被膜外浸潤を有する好酸性型濾胞癌であり，一部に形成されたnodule in nodule様構造の内層に約34%という極めて高いMIB-1陽性率を示す低分化成分が認められた。低分化成分を伴うことから本邦甲状腺癌取扱い規約の好酸性濾胞癌型低分化癌に相当すると考えられた。右葉の病変はリンパ節転移を有する典型的な乳頭癌であった。

キーワード: thyroid gland, poorly differentiated carcinoma, follicular carcinoma

A case of poorly differentiated carcinoma of the thyroid gland with high MIB-1 index

Makoto Ohta, Hideki Maegawa, Masaki Mori, and Yoshiaki Imamura

Division of Surgical Pathology, University of Fukui Hospital

(論文受付 2007年11月 2日)

(採用決定 2008年 1月22日)