症例報告

緩徐な発育経過をとった結節性筋膜炎の1例

山家　健作¹　　　庄盛　浩平¹　　　南崎　　剛²
尾崎　まり²　　　野坂　加苗¹　　　吉田　春彦¹
井藤　久雄¹

(¹鳥取大学医学部器官病理，²国立病院機構米子医療センター整形外科)

要旨: 40代女性の右下腿に生じた結節性筋膜炎を報告する。半年の経過で痛みがなく徐々に増大した。手術時の腫瘤の大きさは2.6 cmで辺縁不整，病理組織像は異型のない紡錘形細胞がリンパ球浸潤を伴い増生し疎密に分布するパターンを呈し，硝子化や瘢痕化が混在していた。炎症性筋線維芽細胞腫瘍との鑑別を要したが，臨床所見，病理所見より結節性筋膜炎と診断した。通常，結節性筋膜炎は急速に増大するが，本症例は緩徐な発育経過で病理組織像も非典型的であった。結節性筋膜炎の中には痛みがなく緩徐な発育経過をとる症例もある。

キーワード: soft tissue, nodular fasciitis, slow progress

A case of nodular fasciitis with slow progress

Kensaku Yamaga¹, Kohei Shomori¹, Takeshi Minamizaki², Mari Osaki², Kanae Nosaka¹, Haruhiko Yoshida¹, and Hisao Ito¹

¹Division of Organ Pathology, Department of Microbiology and Pathology, Faculty of Medicine, Tottori University
²Department of Orthopaedic Surgery, Yonago Medical Center, National Hospital Organization

(論文受付 2008年7月 9日)

(採用決定 2008年9月19日)