症例報告

舌に発生した硬化性類上皮線維肉腫の1例

田口　周平¹　　　宮下　圭一²　　　黒野　祐一²
北島　信一³　　　梅北　善久¹

(¹鹿児島大学大学院腫瘍病態学，²同　聴覚頭頸部疾患学，³鹿児島大学病院病理部)

要旨: 舌に発生した腫瘍で硬化性類上皮線維肉腫の診断が妥当と考えられた1例を報告する。症例は57歳の女性で，舌根部に長径4.8 cm，弾性硬の白色充実性腫瘍が認められた。組織学的には幅広い硝子化した膠原線維性の間質中に，弱好酸性ないし淡明な細胞質を有する小型上皮様の細胞が小胞巣ないし索状配列を主体として増殖していた。免疫染色ではvimentinが陽性，種々の上皮性，筋原性，神経系，リンパ球系マーカー，第XIIIa因子は陰性であった。鑑別診断を中心に考察を加えて報告する。

キーワード: tongue, sclerosing epithelioid fibrosarcoma, benign fibrous histiocytoma

A case of sclerosing epithelioid fibrosarcoma of the tongue

Shuuhei Taguchi¹, Keiichi Miyashita², Yuuichi Kurono², Shinichi Kitajima³, and Yoshihisa Umekita¹

Departments of ¹Tumor Pathology and ²Otolaryngology, Head and Neck Surgery, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences
³Division of Surgical Pathology, Kagoshima University Hospital

(論文受付 2008年5月23日)

(採用決定 2008年9月12日)