症例報告

耳下腺に発生したSarcomatoid Salivary Duct Carcinomaの1例

松田俊太郎^1,2　　　丸塚　浩助¹　　　土屋　克之³
東野　哲也³　　　浅田祐士郎²

(¹宮崎大学医学部附属病院病理部，²宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野，
³同　感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野)

要旨: 比較的稀な Salivary duct carcinoma（SDC）の一亜型であるSarcomatoid SDCの1例を経験した。82歳男性の右耳下腺に発生した腫瘍で3.5×2.8×2.0 cm大。割面の肉眼像では，黄白色充実性の領域と，白色で中心が出血壊死を示す領域が比較的境界明瞭に隣接して存在した。組織学的には，前者は典型的なSDCであったが，後者は大型類円形から紡錘形の単核細胞がびまん性に増殖し，破骨型多核巨細胞が散在する肉腫様の所見が認められた。免疫組織化学で，単核細胞の一部はEMA，Androgen Receptor陽性を示し，両者には一部に連続性が認められたことから，Sarcomatoid SDCと診断した。

キーワード: parotid, salivary duct carcinoma, sarcomatoid, osteoclast-type giant cell

A case of sarcomatoid salivary duct carcinoma in the parotid gland

Shuntaro Matsuda^1,2, Kousuke Marutsuka¹, Katsuyuki Tsuchiya³, Tetsuya Tono³, and Yujiro Asada²

¹Pathology Division, University of Miyazaki Hospital
Departments of ²Pathology and ³Otorhinolaryngology, Head and Neck Surgery, Faculty of Medicine, University of Miyazaki

(論文受付 2008年5月23日)

(採用決定 2008年8月14日)