症例報告

異型線維黄色腫の1例

田中　弘之¹　　　堀川　永子²　　　片岡　寛章¹

(¹宮崎大学医学部病理学講座腫瘍・再生病態学分野，²同　皮膚科)

要旨: 異型線維黄色腫は比較的稀な疾患で，悪性線維性組織球腫の表在型であり低悪性度肉腫と考えられている。63歳女性の鼻背部皮膚に発生した異型線維黄色腫の1例を経験したので報告する。腫瘍は被膜を形成せず，真皮から一部脂肪織まで進展していた。腫瘍は充実性に増殖する組織球様細胞から成る病変で，散在する異型多核細胞および多数の分裂像が観察された。表在性軟部腫瘍の診断において，本症の存在を認識することは，治療方針や予後の点からも重要である。

キーワード: skin, atypical fibroxanthoma, malignant fibrous histiocytoma, immunohistochemistry

A case of atypical fibroxanthoma

Hiroyuki Tanaka¹, Nagako Horikawa², and Hiroaki Kataoka¹

¹Section of Oncopathology and Regenerative Biology, Department of Pathology, Faculty of Medicine, University of Miyazaki
²Department of Dermatology, University of Miyazaki Hospital

(論文受付 2008年5月23日)

(採用決定 2008年7月17日)