症例報告

中耳カルチノイドの1例

佐々木人大¹　　　棚橋　　仁²　　　駄阿　　勉²
加島　健司²　　　矢田　直美²　　　岩城堅太郎²
一宮　一成³　　　平野　　隆³　　　鈴木　正志³
横山　繁生²

(¹大分大学医学部医学科，²同　病理学講座第1，³同　耳鼻咽喉科学講座)

要旨: 中耳カルチノイドの1例を報告する。患者は39歳男性で，2年前から左聴力低下を指摘されていた。その後，左中耳腫瘍が見付かり，腫瘍全摘術が施行された。腫瘍は赤色・充実性で鼓室全体を占拠し，外耳道や乳突洞にも進展していた。組織学的には，均一な円柱状ないしは類円形細胞の索状，シート状増殖から成り，免疫染色でchromogranin A，synaptophysin，serotoninが陽性であった。Chromogranin Aを用いた免疫電顕では，分泌顆粒に一致して標識が見られた。以上の所見より中耳カルチノイドと診断した。

キーワード: middle ear, adenoma, carcinoid tumor

A case of carcinoid tumor of the middle ear

Hitohiro Sasaki¹, Jin Tanahashi², Tsutomu Daa², Kenji Kashima², Naomi Yada², Kentaro Iwaki², Issei Ichimiya³, Takashi Hirano³, Masashi Suzuki³, and Shigeo Yokoyama²

¹School of Medicine, Departments of ²Pathology and ³Otorhinolaryngology, Faculty of Medicine, Oita University

(論文受付 2008年5月23日)

(採用決定 2008年7月10日)