症例報告

甲状腺篩状−モルレ型乳頭癌の1例

松崎　晶子¹　　　松本　美幸²　　　中山　　崇³
吉見　直己^1,3

(¹琉球大学医学部腫瘍病理学講座，²北部医師会病院，³琉球大学医学部附属病院病理部)

要旨: 甲状腺篩状−モルレ型乳頭癌の一例を経験したので報告する。症例は27歳女性。約半年前から甲状腺腫瘤を自覚し，細胞診の結果，甲状腺乳頭癌と診断され，甲状腺亜全摘手術を施行された。腫瘍は2 cm径の結節性病変で，厚い被膜に囲まれており，乳頭状，索状構造を示す腫瘍細胞の中に多数のモルレ構造が散在していた。免疫組織学的に，モルレ構造内の腫瘍細胞は核にビオチンとβ-カテニンが陽性であった。

キーワード: 甲状腺篩状−モルレ型乳頭癌，ビオチン，β-カテニン，家族性大腸ポリポーシス

A case of cribriform-morular variant of papillary thyroid carcinoma

Akiko Matsuzaki¹, Miyuki Matsumoto², Takashi Nakayama³, and Naoki Yoshimi^1,3

¹Department of Tumor Pathology, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus
²Department of Pathology, Northern Okinawa Medical Center
³Division of Pathology, Ryukyu University Hospital, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus

(論文受付 2008年2月 8日)

(採用決定 2008年5月27日)