症例報告

鼻腔側壁より発生した多形腺腫の1例

平野　博嗣¹　　　沖村　　明¹　　　佐伯　忠彦²
谷口　昌史²　　　川上美由紀²　　　松本　宗一²
大河内喜久²　　　中正　恵二³　　　西上　隆之³
寺田　信行³

(¹新日鐵広畑病院病理，²同　耳鼻咽喉科，³兵庫医科大学病理学教室)

要旨: 鼻腔側壁より発生した多形腺腫を経験したので報告する。症例は50代前半女性。初診の2ケ月前より右鼻腔閉塞感と鼻出血を自覚したため本院耳鼻咽喉科を受診した。鼻周囲CTにて右鼻腔内に約3 cm大の腫瘤を認めた。内視鏡的に腫瘤は鼻腔側壁より発生し，表面は平滑で毛細血管に富んでいた。生検にて組織学的に多形腺腫が強く疑われ経内視鏡的に摘出した。切除された腫瘤も組織学的に多形腺腫であった。術後2年が経過するが，患者に再発徴候はみられなかった。

キーワード: pleomorphic adenoma, nasal lateral wall

Pleomorphic adenoma arising from nasal lateral wall: A case report

Hiroshi Hirano¹, Akira Okimura¹, Tadahiko Saiki², Masafumi Taniguchi², Miyuki Kawakami², Shuichi Matsumoto², Yoshihisa Okochi², Keiji Nakasho³, Takashi Nishigami³, and Nobuyuki Terada³

Departments of ¹Pathology and ²Otorhinolaryngology, Nippon Steel Hirohata Hospital
³Department of Pathology, Hyogo College of Medicine

(論文受付 2008年3月19日)

(採用決定 2008年5月27日)