症例報告

Paraovarian cystadenofibroma の1例

舟木  馨1   福西 秀信1   北澤 理子2
北澤 荘平2

(1慈恵会新須磨病院婦人科,2神戸大学医学部病理学教室)

要旨: 傍卵巣嚢腫は子宮附属器腫瘍性病変の一つであり,単胞性の嚢胞として認められるものが多い。嚢胞の内部に結節や隔壁などの構造を伴うものには腺腫,腺線維腫のほか,悪性腫瘍も含まれるが,悪性傍卵巣腫瘍の報告は極めて稀である。我々の経験した症例は,単房性嚢胞性腫瘤の内部に1ケ所の充実性部分を有する腺線維腫であった。画像診断の進歩から,術前に傍卵巣嚢腫と診断される例も増えており,内部に充実性結節を有する腫瘍では術前に質的診断を得ることは困難のため,摘出後の病理標本により診断を確定する必要があると思われる。

キーワード: paraovarian tumor, paraovarian cystadenofibroma, paraovarian cancer


A case of paraovarian cystadenofibroma

Kaoru Funaki1, Hidenobu Fukunishi1, Riko Kitazawa2, and Sohei Kitazawa2

1Department of Gynecology, Shinsuma General Hospital, Kobe, Hyogo, Japan
2Department of Pathology, Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe, Hyogo, Japan

(論文受付 2007年12月28日)

(採用決定 2008年 3月27日)