症例報告

膵内の副脾に発生した類表皮嚢胞の1例

門田　球一　　　羽場　礼次　　　串田　吉生
香月奈穂美　　　坂東　健次　　　宮井　由美

(香川大学医学部附属病院病理部)

要旨: 中年女性の膵尾部副脾に発生した類表皮嚢胞の1例を報告する。造影CT検査では膵尾部に6×5 cmの嚢胞性病変が存在し，臨床的に膵原発の嚢胞性腫瘍が疑われ，膵体尾部と脾臓の切除術が施行された。肉眼的には膵尾部に6×5×4 cmで多房性の嚢胞性病変がみられ，一部には粘液の貯留が認められた。組織学的には嚢胞壁に脾臓様組織がみられ，嚢胞内面を扁平上皮や立方上皮が被覆し，立方上皮の一部にはD-PASやalcian blue染色に陽性の粘液が認められた。免疫組織化学的には嚢胞の被覆上皮にCK7, CK13, CK18, EMA, CA19-9, D2-40が陽性であった。以上から膵内副脾に発生した類表皮嚢胞と診断した。

キーワード: pancreas, epidermoid cyst, intrapancreatic accessory spleen, CA19-9

A case of epidermoid cyst arising in the intrapancreatic accessory spleen

Kyuichi Kadota, Reiji Haba, Yoshio Kushida, Naomi Katsuki, Kenji Bando, and Yumi Miyai

Department of Diagnostic Pathology, University Hospital, Faculty of Medicine, Kagawa University

(論文受付 2007年11月9日)

(採用決定 2008年 3月7日)