症例報告

悪性転化を示したnuclear palisadingを伴う隆起性皮膚線維肉腫の1例

大森　昌子¹　　　柳井　広之¹　　　荻野　哲也²
松川　昭博²　　　吉野　　正¹

(¹岡山大学医学部・歯学部附属病院病理部，²岡山大学大学院医歯薬総合研究科病態探究医学)

要旨: 症例は59歳女性。左膝窩部の皮膚から皮下組織におよぶ8×6 cm大の腫瘍が存在し，腫瘍切除術が施行された。組織学的には，通常型の隆起性皮膚線維肉腫（dermatofibrosarcoma protuberans; DFSP）の領域から移行して明瞭なnuclear palisadingを示す部分が散在性に認められた。いずれの領域もCD34はびまん性に強陽性を示した。また線維肉腫に相当する高悪性度肉腫の領域が存在し，その部分ではCD34が減弱∼陰性化していた。Nuclear palisadingを示すDFSPから発生した稀なfibrosarcomaの1例を報告する。

キーワード: skin, dermatofibrosarcoma protuberans, fibrosarcoma, nuclear palisading, CD34

Nuclear palisading prominent dermatofibrosarcoma protuberans with malignant transformation

Masako Omori¹, Hiroyuki Yanai¹, Tetsuya Ogino², Akihiro Matsukawa², and Tadashi Yoshino¹

¹Department of Pathology, Okayama University Hospital
²Department of Pathology and Experimental Medicine, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences

(論文受付 2007年12月11日)

(採用決定 2008年 2月21日)