症例報告

胃腺内分泌細胞癌の1例

有泉　　泰　　　本庄　広大　　　土屋　恭子
小野　晃子　　　土居　正知　　　小池　淳樹
田所　　衛

(聖マリアンナ医科大学診断病理学講座)

要旨: 症例は48歳，男性。胃癌の術前診断で，胃切除術が施行された。病理組織学検討の結果，腫瘍辺縁の粘膜に腺癌が存在し，腫瘍中心部や深部に好銀性顆粒や内分泌マーカー陽性の内分泌細胞癌成分が存在した。これらの所見から腺内分泌細胞癌と診断した。両腫瘍の分布や移行像を認めることから，内分泌細胞癌成分は腺癌の一部から発生したと考えられた。腺内分泌細胞癌は悪性度の高い腫瘍と考えられ，胃癌の診断時は，内分泌細胞癌成分の有無について，慎重に検索する必要があると考えられた。

キーワード: mixed exocrine-endocrine cell carcinoma, endocrine cell carcinoma, stomach

A case of mixed exocrine-endocrine cell carcinoma of the stomach

Yasushi Ariizumi, Kodai Honjo, Kyouko Tuchiya, Akiko Ono, Masatomo Doi, Junki Koike, and Mamoru Tadokoro

Departments of Diagnostic Pathology, St. Marianna University School of Medicine

(論文受付 2007年 8月16日)

(採用決定 2007年10月26日)