症例報告

小型肺腺癌との鑑別を要した孤発性末梢小型肺腫瘤の2例

柳川　直樹¹　　　加藤　博久²　　　金内　直樹²
大泉　弘幸²　　　貞弘　光章²　　　本山　悌一¹

(¹山形大学医学部人体病理病態学分野，²同　循環器・呼吸器・小児外科学分野)

要旨: 末梢小型肺腫瘤としてCT等で指摘される病変は，腫瘍性のものをはじめとして様々な病変があり，画像では診断困難例も存在する。今回我々は，画像診断上肺癌を否定できず手術が施行された，稀な肺腫瘍様病変1例，および稀な肺腫瘍1例を経験した。症例1は58歳の女性。右肺上葉にspiculaを伴う径5 mmの腫瘤陰影を指摘され手術が行われた。病理組織学的に孤発性傍細気管支化生と診断した。症例2は55歳の男性。右肺下葉に径8 mmのスリガラス状腫瘤陰影を指摘され手術が行われた。病理組織学的に孤発性肺毛細血管腫と診断した。

キーワード: lung tumor or tumor-like lesion, peribronchiolar metaplasia, pulmonary capillary hemangioma

Two cases of solitary peripheral small lung tumor needed to differentiate from small lung adenocarcinoma

Naoki Yanagawa¹, Hirohisa Kato², Naoki Kanauchi², Hiroyuki Oizumi², Mitsuaki Sadahiro², and Teiichi Motoyama¹

¹Department of Pathology and ²Surgery, Yamagata University School of Medicine

(論文受付 2007年 9月 5日)

(採用決定 2007年10月26日)