症例報告

IgG4関連硬化性病変との鑑別を要した橋本病線維亜型の1例

大沼　秀行¹　　　三浦　弘資²

(¹松江赤十字病院検査部，²同　病理部)

要旨: 症例は54歳女性。前頸部腫瘤の精査目的のため当院耳鼻咽喉科受診。臨床的に橋本病が考えられるも，腫瘍を除外するため部分切除生検が施行された。組織学的に，高度の線維化を伴う形質細胞やリンパ球浸潤による甲状腺の基本構築の消失を認めた。線維化周辺から線維化巣ではIgG4陽性形質細胞が目立ち，IgG4関連硬化性病変との鑑別を要したが，臨床病理学的検討から橋本病線維亜型と診断した。本症の線維化発生機序に，局所性のIgG4関連免疫異常が関与している可能性も否定できないと思われ，今後の症例集積が望まれる。

キーワード: thyroid, Hashimoto’s thyroiditis, fibrous variant, IgG4, plasma cells

A case of fibrous variant of Hashimoto’s thyroiditis resembling IgG4-related sclerosing disease

Hideyuki Ohnuma¹ and Hiroshi Miura²

¹Department of Laboratory Medicine and ²Department of Pathology, Matsue Red Cross Hospital

(論文受付 2007年 8月16日)

(採用決定 2007年10月26日)