症例報告

精巣に発生した表皮嚢胞の3例

平野　博嗣¹　　　木崎　智彦²　　　造住　誠孝³
　松本　弘人³　　　藤井　　明³　　　大久保恵理子¹
沖村　　明¹　　　中正　恵二⁴　　　西上　隆之⁴

(¹新日鐵広畑病院病理科，³同　泌尿器科，²三田市民病院病理，⁴兵庫医科大学病理学教室)

要旨: 60歳台，50歳台および40歳台男性の精巣に発生した類表皮嚢胞を経験したので報告した。症例1は残尿感および頻尿を主訴に，症例2は陰嚢部痛を主訴に，症例3は無痛性陰嚢腫大を主訴に来院した患者であった。3症例すべてが径3 cm以上で，肉眼的に粥状内容物が精巣の大部分を占拠していた。組織学的に嚢胞内壁は扁平上皮で裏打ちされ，その内容は角化物であった。以上より類表皮嚢胞と診断した。症例1では嚢胞壁内に少量の骨形成を認め，骨内に造血細胞を含まない骨髄組織がみられた。

キーワード: testis, epidermoid cyst, histology, ossification, teratoma

Three cases of epidermal cyst of the testis

Hiroshi Hirano¹, Tomohiko Kizaki², Masataka Zouzumi³, Masato Matsumoto³, Akira Fujii³, Eriko Ohkubo¹, Akira Okimura¹, Keiji Nakasho⁴, and Takashi Nishigami⁴

Departments of ¹Pathology and ³Urology, Nippon Steel Hirohata Hospital
²Department of Pathology, Sanda City Hospital
⁴Department of Pathology, Hyogo College of Medicine

(論文受付 2007年 5月11日)

(採用決定 2007年 7月 6日)