症例報告

膵病変を伴わないIgG4関連硬化性胆管炎の2例

石田　光明¹　　　松原亜季子²　　　九嶋　亮治²
岡部　英俊^1,2

(¹滋賀医科大学医学部附属病院検査部，²同　病理部)

要旨: 膵病変を伴わないIgG4関連硬化性胆管炎の2例を報告する。2症例ともに胆道系酵素の上昇を指摘され，画像検査で上部胆管が著明に狭窄していたが，明らかな膵病変は認めなかった。胆管癌の疑いで胆管切除術および肝右葉切除術が施行された。病理組織学的に両症例ともに胆管壁には硝子化した膠原線維の増加が目立ち，多数の形質細胞が浸潤していた。免疫組織学的に浸潤している形質細胞の大部分がIgG4陽性であり，IgG4関連硬化性胆管炎と診断した。1例は術後に血中IgG4を測定したところ軽度上昇していた。

キーワード: IgG4-related sclerosing cholangitis, pancreatitis

Two cases of IgG4-related sclerosing cholangitis without pancreatitis

Mitsuaki Ishida¹, Akiko Matsubara², Ryoji Kushima², and Hidetoshi Okabe^1,2

Departments of ¹Clinical Laboratory Medicine and ²Division of Diagnostic Pathology, Shiga University of Medical Science

(論文受付 2007年 3月30日)

(採用決定 2007年 5月11日)