症例報告

Pancreatic hamartomaの1症例

山田 壮亮   谷本 昭英   松木 康真
島尻 正平   笹栗 靖之

(産業医科大学医学部第2病理学)

要旨: 71歳女性の膵体尾部に発生した過誤腫の1例を経験したので報告する。2年前,上行結腸癌にて切除術を施行され,経過観察中の腹部CTにて膵尾部嚢胞性腫瘍が認められた。悪性を疑われ,膵体尾部脾合併切除術を施行された。腫瘍は径5×4×3 cmの大きさで膵体尾部に限局する境界明瞭な白色調の病変であり,内部に出血と嚢胞性変化を伴っていた。組織学的に,充実性成分から嚢胞性成分への細胞密度の移行は緩やかであり,後者では上皮の裏打ちを認めなかった。充実性部分では,紡錘形から類円形の腫瘍細胞が無秩序に増殖しており,一部では硝子化した厚みのある線維性間質を伴っていた。鑑別として孤在性線維性腫瘍と胃腸間質性腫瘍が考えられたが,ラ氏島形成がなく,腺房細胞と介在導管上皮細胞の配置および構成割合に異常の認められる腺房組織を内在していたことより過誤腫と診断した。

キーワード: Pancreas, Hamartoma, Solid and cystic, Islets, Solitary fibrous tumor (SFT), Gastrointestinal stromal tumor (GIST)


A case of pancreatic hamartoma

Sohsuke Yamada, Akihide Tanimoto, Yasumasa Matsuki, Shohei Shimajiri, and Yasuyuki Sasaguri

Department of Pathology and Cell Biology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health

(論文受付 2007年 5月11日)

(採用決定 2007年 6月21日)