症例報告

手掌の外傷部に発生した硬化性神経周膜腫(sclerosing perineurioma）の1例

矢田　直美¹　　　園田　忠重²　　　園田　祥子²
加島　健司¹　　　駄阿　　勉¹　　　近藤　能行¹
横山　繁生¹

(¹大分大学医学部病理学講座第一，²春日皮膚科クリニック)

要旨: 11歳男児の左手掌に発生した硬化性神経周膜腫の1例を報告する。外傷後に腫瘤が生じ，その後も徐々に増大し，1.5 cm大，ドーム状の隆起性腫瘤となった。組織学的には，真皮内に被膜を欠く比較的境界明瞭な線維性腫瘍を認めた。膠原線維に富む乏細胞性腫瘍であったが，異型性に乏しい小型類円形細胞の集簇巣が散見された。年齢，発生部位，組織像に加え，これらの類円形細胞は免疫染色でEMAとvimentinが陽性，S-100蛋白と平滑筋アクチンが陰性を示すことより本腫瘍を硬化性神経周膜腫と診断した。

キーワード: palm, sclerosing perineurioma, trauma, juvenile, EMA

A case of post-traumatic sclerosing perineurioma of the palm

Naomi Yada¹, Tadashige Sonoda², Yoshiko Sonoda², Kenji Kashima¹, Tsutomu Daa¹, Yoshiyuki Kondo¹, and Shigeo Yokoyama¹

¹First Department of Pathology, Faculty of Medicine, Oita University
²Kasuga Dermatology Clinic

(論文受付 2007年 2月23日)

(採用決定 2007年 5月 7日)