症例報告

IgG4関連硬化性唾液腺炎の1例

大沼　秀行¹　　　三浦　弘資²

(¹松江赤十字病院検査部，²同　病理部)

要旨: 症例は76歳女性。右顎下部腫脹の精査加療目的のため当院耳鼻咽喉科紹介受診。臨床的に右顎下腺腫瘍が疑われ，摘出術が施行された。組織学的には慢性硬化性唾液腺炎に相当する像で，線維化ならびにリンパ濾胞形成を伴うびまん性のリンパ球，形質細胞の浸潤が認められた。免疫組織化学的に豊富なIgG4陽性形質細胞の浸潤が示され，IgG4関連硬化性唾液腺炎と診断した。本疾患は，IgG4関連免疫異常を伴う全身性硬化性疾患に包括されるが，診断にはIgG4の免疫染色を含む臨床病理学的検討が大切であると考えられた。

キーワード: submandibular gland, chronic sclerosing sialadenitis, IgG4, plasma cells

A case of IgG4-related sclerosing sialadenitis

Hideyuki Ohnuma¹ and Hiroshi Miura²

Departments of ¹Laboratory Medicine and ²Pathology, Matsue Red Cross Hospital

(論文受付 2007年 2月28日)

(採用決定 2007年 5月11日)