症例報告

嚢胞状の肉眼型を示した回盲部原発のびまん性大細胞型
B細胞リンパ腫の1例

小川　高史　　松本　晃一　　上野　正樹
阪本　晴彦

(香川大学医学部病理病態・生体防御医学講座炎症病理学)

要旨: 症例は70代，男性。症状として嘔吐，食欲不振があった。回盲部に腫瘤を認め摘出された。回盲部発生のびまん性大細胞型リンパ腫で， 比較的稀な嚢胞状の肉眼型を示した。本例は虫垂部に浸潤がみられ， 同部原発の可能性も示唆された。CD5陽性率は3∼4%と低く，Bcl-2陽性率は52%程度であり，de novo発生は否定的であった。予後不良因子であるKi-67 index, Bcl-2, p53陽性率は62.1%, 52%, 2.5%, 予後良好因子Bcl-6陽性率は66.3%と予後の良・不良両方の可能性が示唆された。細胞起源では， 予後不良の可能性が示唆されている活性化B細胞由来と考えられた。文献的考察を加えて報告する。

キーワード: ileocecum, diffuse large B-cell lymphoma, cystoid growth, immunohistochemistry

A case of diffuse large B-cell lymphoma of the ileocecum with a cystoid growth pattern

Takafumi Ogawa, Kouichi Matsumoto, Masaki Ueno, and Haruhiko Sakamoto

Department of Pathology and Host Defense, Faculty of Medicine, Kagawa University

(論文受付 2006年12月13日)

(採用決定 2007年 4月 5日)