症例報告

脾良性病変の1例: sclerosing angiomatoid nodular transformation

大城　由美¹　　　西崎　　隆²

(¹松山赤十字病院病理部，²同　外科)

要旨: 症例は40代男性。偶然発見された脾腫瘤に対して，腹腔鏡下脾臓摘出術が施行された。腫瘤は径約4 cm×3 cm，境界明瞭，単発性であった。割面では大小の赤褐色結節が線維成分内に分布していた。組織学的に，赤褐色結節部は血管腫様所見を呈した。一方，結節間の間質は硝子化を伴う線維成分であった。またリンパ球や形質細胞を主体とする炎症細胞浸潤が目立った。免疫組織学的に，血管腫様結節にはCD34+/CD8−の網細血管とCD34−/CD8+の拡張した血管を認めた。これらの特徴像は，sclerosing angiomatoid nodular transformationとして報告された病変と同一と考え提示した。

キーワード: Spleen, sclerosing angiomatoid nodular transformation, cord capillary hemangioma, hamartoma, inflammatory pseudotumor

A case of benign splenic lesion: Sclerosing angiomatoid nodular transformation

Yumi Oshiro¹ and Takashi Nishizaki²

Departments of ¹Pathology and ²Surgery, Matsuyama Red Cross Hospital

(論文受付 2007年 2月28日)

(採用決定 2007年 4月 5日)