症例報告

妊娠中に気胸が再発した胸膜子宮内膜症の1例

兼子　　耕¹　　　安達　章子¹　　　黄　　英哲²
門山　周文²　　　松島　秀和³　　　長谷島伸親³
竹澤　信治³

(¹さいたま赤十字病院病理部，²同　呼吸器外科，³同　呼吸器内科)

要旨: 妊娠中に気胸が再発した胸膜子宮内膜症の1例を報告する。症例は37歳，女性。組織学的には，肺胸膜に境界明瞭な内膜腺を欠く脱落膜組織が認められ，胸膜弾性線維を破壊し肺実質内に伸展すると同時に胸膜表面に大きな嚢胞を形成していた。月経随伴性気胸は妊娠中無症状であることが多いとされており，稀な経過を示した症例と思われた。参考例として内膜間質細胞のみの増生を示した横隔膜穿孔例を提示した。本例・参考例共に内膜間質細胞はprogesterone receptor（以下PgR）染色陽性であり，診断上重要な所見と考えられた。

キーワード: pleura, endometriosis, catamenial pneumothorax, deciduosis, PgR

A case of pleural endometriosis with recurrent pneumothorax during pregnancy

Kou Kaneko¹, Akiko Adachi¹, Eitetsu Koh², Chikabumi Kadoyama², Hidekazu Matsushima³, Nobuchika Hasejima³, and Shinji Takezawa³

Departments of ¹Pathology, ²Thoracic Surgery and ³Respiratory Medicine, Saitama Red Cross Hospital

(論文受付 2007年 2月 9日)

(採用決定 2007年 3月29日)