症例報告

軟骨化生を伴う乳癌の1例

仲田　興平　　　山元　英崇　　　今村　公一
中川　真宗　　　井上　崇弘　　　小田　義直
恒吉　正澄

(九州大学大学院形態機能病理学)

要旨: 40歳女性，右乳房腫瘤にて来院，穿刺吸引細胞診では悪性と診断され胸筋温存乳房切除術，腋窩リンパ節郭清を試行された。病理組織学的検索では低分化な上皮性成分と軟骨肉腫様成分が混在し両者の間には移行帯が存在していた。腋窩リンパ節は7個中6個に転移を認めた。ホルモンレセプターはER, PgR共に陰性であり，免疫組織染色において上皮性部分ではAE1/AE3 (pankeratin）陽性，軟骨肉腫様成分ではS-100タンパク陽性であった。以上の所見より軟骨化生を伴う癌であると診断した。

キーワード: breast, metaplastic carcinoma, cartilaginous and osseous metaplasia, carcinosarcoma

A case of breast carcinoma with cartilaginous metaplasia

Kouhei Nakata, Hidetaka Yamamoto, Kouichi Imamura, Masamune Nakagawa, Takahiro Inoue, Yoshinao Oda, and Masazumi Tsuneyoshi

Department of Anatomic Pathology, Pathological Sciences, Graduate School of Medical sciences, Kyushu University

(論文受付 2006年12月 5日)

(採用決定 2007年 3月 8日)