症例報告

右小指に発生したびまん型巨細胞腫の1例

金光　秀一¹　　　松山　篤二¹　　　久岡　正典¹
奥山　清隆²　　　橋本　　洋¹

(¹産業医科大学医学部第1病理，²奥山整形外科医院)

要旨: 関節および関節近傍に発生する軟部の巨細胞腫は臨床病理像の違いにより腱鞘巨細胞腫とびまん型巨細胞腫とに分けられる。後者は比較的稀で主として大関節に好発し再発率が高いという特徴を有する。53歳女性の右小指に発生したびまん型巨細胞腫を経験したので報告する。腫瘍は被膜を形成せず，周囲組織へ浸潤性に発育していた。小型で単核の組織球様細胞が充実性に増殖しており，少数の破骨細胞様多核巨細胞とともにdesmin陽性の樹状細胞が混在していた。可及的切除後3年で再発をみない。

キーワード: finger, diffuse-type giant cell tumor, desmin-positive dendritic cell, immunohistochemistry

A case of diffuse-type giant cell tumor in the right little finger

Shuichi Kanemitsu¹, Atsuji Matsuyama¹, Masanori Hisaoka¹, Kiyotaka Okuyama², and Hiroshi Hashimoto¹

¹Department of Pathology and Oncology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
²Okuyama Orthopaedic Clinic

(論文受付 2006年12月 5日)

(採用決定 2007年 3月 8日)