症例報告

陳旧性日本住血吸虫卵が見られた穿孔性虫垂炎の1例

松　晶子1　　　大城真理子2　　　中山　　崇1
吉見　直己1,3

(1琉球大学医学部附属病院病理部，2沖縄県立北部病院病理科，
3琉球大学医学部大学院医学研究科病態解析医科学講座腫瘍病理学)

要旨: 第2次大戦中に中国に滞在経験を持つ87歳の男性の穿孔性虫垂炎内に陳旧性日本住血吸虫卵を認めた症例を経験した。1996年に山梨県で日本住血吸虫の国内終息宣言が出され，それ以降は，日本国内で感染した新規の日本住血吸虫症患者は発生していない。しかし，近年，日本住血吸虫症流行地への海外渡航機会の増加により海外からの輸入例の報告も散見され，また，本例のように陳旧性例に遭遇する例も依然としてみられる。虫垂の病理組織学的所見に，近年の住血吸虫症に関する文献的考察を加えて報告する。

キーワード ; appendicitis, perforative, schistosomal ova

A case of perforative appendicitis with calcified scistosomal ova

Akiko Matsuzaki1, Mariko Oshiro2, Takasi Nakayama1, and Naoki Yosimi1,3

1Division of Pathology, Ryukyu University Hospital, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus
2Department Pathology, Okinawa Prefectural Hokubu Hospital
3Department of Tumor Pathology, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus

(論文受付 2006年12月 5日)

(採用決定 2007年 3月 8日)