症例報告

膵内副脾に発生した類表皮嚢胞の1例

石田　光明¹　　　松原亜季子²　　　小島　史好¹
九嶋　亮治²　　　岡部　英俊^1,2

(¹滋賀医科大学医学部附属病院検査部，²同　病理部)

要旨: 44歳女性の膵尾部副脾に発生した類表皮嚢胞の1例を報告する。膵尾部に径6×5 cmの多房性嚢胞性腫瘍が存在し，術前の画像検査で粘液性嚢胞腫瘍が疑われた。病理組織学的に嚢胞内面は数層の重層扁平上皮で覆われていた。嚢胞は硝子化した線維性組織で囲まれており，一部嚢胞周囲に脾臓様組織が存在したことから，副脾に発生した類表皮嚢胞と診断した。免疫組織学的に嚢胞を被覆する重層扁平上皮にCA19-9やCEAが陽性であったが，中皮細胞マーカーは陰性であり，膵臓導管由来であることが示唆された。

キーワード: intrapancreatic accessory spleen, epidermoid cyst, CA19-9

A case of epidermoid cyst arising in the intrapancreatic accessory spleen

Mitsuaki Ishida¹, Akiko Matsubara², Fumiyoshi Kojima¹, Ryoji Kushima², and Hidetoshi Okabe^1,2

¹Department of Clinical Laboratory Medicine and ²Division of Diagnostic Pathology, Shiga University of Medical Science

(論文受付 2006年10月17日)

(採用決定 2007年 1月26日)