症例報告

Radial scar内に発生した乳腺ductal carcinoma
in situ (DCIS）の1例

林　　晃史¹　　　山元　英崇¹　　　久保　　真²
黒木　祥司²　　　恒吉　正澄¹

(¹九州大学大学院医学研究院形態機能病理学，²同　臨床・腫瘍外科)

要旨: Radial scar内に発生した乳腺ductal carcinoma in situ (DCIS）の1例を経験した。56歳女性。画像的には辺縁不整な腫瘤性病変で，細胞診にて悪性を疑われ，乳房温存術を施行された。組織学的には，中心部の瘢痕状線維組織とそれを放射状に取り巻く乳管や小葉の増生があり，radial scarの像であった。それに加えて，一部の乳管内では篩状構造を示すDCISの像が認められた。Radial scar自体は良性疾患であるが，画像上乳癌との鑑別が困難である。また本症例のように乳癌を合併することもあり，注意が必要である。

キーワード: breast, radial scar, DCIS

A case of ductal carcinoma in situ（DCIS）of the breast associated with radial scar

Akifumi Hayashi¹, Hidetaka Yamamoto¹, Makoto Kubo², Shouji Kuroki², and Masazumi Tsuneyoshi¹

Departments of ¹Anatomic Pathology and ²Surgery and Oncology, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University

(論文受付 2006年12月 5日)

(採用決定 2007年 2月16日)