原　　著

腹膜偽粘液腫の原発部位同定に関する免疫組織化学的検討

南　　恩姫　　　信川　文誠　　　福村　由紀
柏木　聡子　　　園上　浩司　　　平井　　周
松本　俊治　　　須田　耕一

(順天堂大学医学部人体病理病態学講座)

要旨: 腹膜偽粘液腫は粘液産生腫瘍の腹膜播種により発生する比較的稀な病態/疾患である。原発巣の多くは虫垂と卵巣であるが，特定し得ない場合もある。筆者らは腹膜偽粘液腫16例に対して多数の免疫染色を行い，その原発部位について検討した。対照として虫垂粘液性腫瘍7例と卵巣粘液性腫瘍10例を用いた。その結果，CK7, CK20, MUC1, MUC2の免疫染色は虫垂と卵巣の腫瘍で染色性が異なるため腹膜偽粘液腫の原発部位を同定する際に有用であった。また，腹膜偽粘液腫は14例が免疫組織化学的に虫垂原発と判定された。

キーワード: pseudomyxoma peritonei, appendix, ovary, mucinous cystadenoma, mucinous cystadenocarcinoma

Immunohistochemical study of pseudomyxoma peritonei(PP); suggestion for the primary lesion of PP

Enji Nan, Bunsei Nobukawa, Yuki Fukumura, Satoko Kashiwagi, Hiroshi Sonoue, Shu Hirai, Toshiharu Matsumoto, and Koichi Suda

Department of Human Pathology (I), Juntendo University School of Medicine

(論文受付 2006年10月17日)

(採用決定 2007年 2月16日)