症例報告

線維骨が主体であった悪性軟部骨化性線維粘液性腫瘍の1例

細田　和貴¹　　　佐々木英一¹　　　北村　淳子¹
山田　健志²　　　杉浦　英志²　　　谷田部　恭¹

(¹愛知県がんセンター中央病院遺伝子病理診断部，²同　整形外科)

要旨: 64歳男性の右肘部皮下組織に発生した軟部骨化性線維粘液性腫瘍の悪性亜型の1例を報告する。病理学的には腫瘤の被膜と隔壁に沿って不完全な被覆を示す骨組織を伴い，紡錘形細胞が粘液間質を背景に増殖していた。骨組織の殆どは線維骨であった。細胞密度の上昇と核異型，多数の核分裂像を認め組織学的悪性と考えられた。核出術後2年の経過で局所再発を来した。再発腫瘍は同様の組織像を呈し，さらに腫瘍壊死と脈管侵襲像を示していた。免疫組織化学的にはvimentinとcalretininが陽性，S-100蛋白陰性であった。

キーワード: soft tissue, ossifying fibromyxoid tumor, malignant variant, woven bone, calretinin

A case of ossifying fibromyxoid tumor of soft part, malignant variant, with predominant woven bone formation

Waki Hosoda¹, Eiichi Sasaki¹, Atsuko Kitamura¹, Kenji Yamada², Hideshi Sugiura², and Yasushi Yatabe¹

Departments of ¹Pathology and Molecular Diagnostics, and ²Orthopaedic Surgery, Aichi Cancer Center Hospital

(論文受付 2006年 9月26日)

(採用決定 2006年12月 8日)