症例報告

腎集合管癌の1例

小林　慶子¹　　　柴田　昌幸¹　　　上坂　貴洋¹
木下　英幸¹　　　立野　正敏²

(¹旭川医科大学医学科，²同　病理学講座)

要旨: 31歳男性の左腎に発生した集合管癌の1例を報告する。血尿・左背部痛を主訴に受診し，画像所見では造影効果の乏しい左腎腫瘍であった。組織学的に通常の腎細胞癌の所見とは異なり，胞体の明るい腫瘍細胞が充実性・腺腔形成を示して増殖し，間質のdesmoplastic fibrosisがみられた。免疫組織化学的に集合管上皮細胞マーカー陽性であったことから集合管癌と診断した。集合管癌は発症年齢が比較的若く，予後不良であり，的確な病理組織診断が必要である。

キーワード: kidney, collecting duct carcinoma, high molecular weight keratin, ulex europeus agglutinin-1 (UEA-1)

A case of collecting duct carcinoma of the kidney

Keiko Kobayashi¹, Masayuki Shibata¹, Takahiro Uesaka¹, Hideyuki Kishita¹, and Masatoshi Tateno²

¹Asahikawa Medical College
²Department of Pathology, Asahikawa Medical College

(論文受付 2006年 8月30日)

(採用決定 2006年11月30日)