症例報告

慢性関節リウマチ患者に合併した
肺リンパ腫様肉芽腫症lymphomatoid granulomatosisの1例

川本研一郎¹　　　竹下　盛重¹　　　上杉　憲子²

(¹福岡大学医学部病理学，²国立病院機構九州医療センター臨床検査科病理部)

要旨: 症例は74歳女性。63歳より慢性関節リウマチ（RA）と診断され，内服加療が行われていた。治療にメソトレキセート（MTX）の使用歴はない。発熱，咳嗽，呼吸困難が出現し，来院。CT検査上右肺門部に4.5×3.5cm大の腫瘍性病変を認めたため，胸腔鏡下右中葉および下葉部分切除を行った。組織学的には大型異型リンパ球とともに高度な小リンパ球，組織球反応，線維化がみられた。腫瘍細胞の血管壁浸潤像がみられた。腫瘍細胞はCD20陽性であり，EBウイルス（EBV）関連蛋白LMP陽性，in situ hybridization法にてEBV-encoded RNAs（EBERs）が陽性であった。組織学的にリンパ腫様肉芽腫症lymphomatoid granulomatosis, LYG, Grade3と診断した。RA患者に認めた肺LYGの1例である。

キーワード: lymphomatoid granulomatosis, Epstein-Barr virus, rheumatoid arthritis

Pulmonary lymphomatoid granulomatosis in patient with rheumatoid arthritis; A case report

Kenichiro Kawamoto¹, Morishige Takeshita¹, and Noriko Uesugi²

¹Department of Pathology, Fukuoka Univercity of Medicine
²Department of Pathology, National Hospital Organization Kyushu Medical center

(論文受付 2006年 8月 1日)

(採用決定 2006年12月 4日)