総　　説

病理診断に役立つ免疫組織化学の新しいマーカー
脳腫瘍の診断への応用

平戸　純子

(群馬大学大学院医学系研究科病態病理学)

要旨: 脳腫瘍診断に応用される免疫組織化学の新たなマーカーとしてOlig2，NeuNおよびINI-1が挙げられる。Olig2は正常組織ではオリゴデンドログリアの特異的なマーカーであり，乏突起膠腫が全例陽性となるが，星細胞系腫瘍も陽性率が高く，応用する際には注意が必要である。NeuNは小型神経細胞の同定に有用で，Olig2と組み合わせることによって明細胞性腫瘍の鑑別が容易となった。また，免疫染色でINI-1の不活性化を検出することが可能となり，非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍の診断の有力な手段となっている。

キーワード: brain tumor, immunohistochemistry, Olig2, NeuN, INI-1

Application to the diagnosis of brain tumors

Junko Hirato

Department of Human Pathology, Gunma University Graduate School of Medicine

(論文受付 2006年11月 2日)

(採用決定 2007年 1月23日)