総　　説

病理診断に役立つ免疫組織化学の新しいマーカー
骨・軟部腫瘍の診断への応用

三橋　智子

(東北大学大学院医学系研究科病理学講座病理形態学分野)

要旨: 骨・軟部腫瘍の病理診断には組織学的所見が最も重要であるが，確定診断には免疫染色が有用となる場合が多い。しかし，特定の腫瘍に特異的とされた抗体であっても，後に種々の腫瘍に染色されることが判明することも多く，鑑別診断のためには複数の抗体を組み合わせた抗体パネルとして免疫染色を実施すべきである。今回特に軟部腫瘍を主体として腫瘍を形態学的に分類し，各々の群の鑑別に有用と考えられるマーカーについて概説すると共に，骨・軟部腫瘍における免疫染色の新しい役割・考え方について論じてみたい。

キーワード: bone・soft part tumor, immunohistochemistry, translational research

New markers of immunohistochemical studies applicable to bone and soft tissue tumors

Tomoko Mitsuhashi

Histopathology Division, Department of Pathology, Tohoku University Graduate School of Medical Science

(論文受付 2006年11月 2日)

(採用決定 2007年 1月23日)