総　　説

病理診断に役立つ免疫組織化学の新しいマーカー
肺原発性腺癌，転移性腺癌の鑑別に有用な免疫組織化学マーカー

大林　千穂

(神戸大学附属病院病理部)

要旨: 肺腫瘍の診断に際しては神経内分泌性格の確認と，原発か転移を見極めるために免疫染色を行うことが多い。扁平上皮癌については未だ原発臓器に特異的なマーカーはないが，腺癌では有用とされる幾つかのマーカーがある。今回は肺腺癌マーカーであるTTF-1とNapsin Aについて解説するとともに，これらのマーカーやサイトケラチン，粘液関連抗体などを組織アレイを用いて検討した結果を報告する。

キーワード: immunohistochmical marker, lung tumor, adenocarcinoma, TTF-1, Napsin A

Useful immunodiagnostic markers to distinguish primary lung adenocarcinoma from metastatic lung adenocarcinoma

Chiho Ohbayashi

Surgical Pathology Division, Kobe University Hospital

(論文受付 2006年11月 2日)

(採用決定 2007年 1月23日)