症例報告

ヒトパルボウイルスB19による胎児水腫の1剖検例

三宅　　岳^1,2　　　足立　　靖^1,3,4　　　金森　千春⁵
 保坂　直樹¹　　　  新宅　雅幸⁶　　　   溝上　友美^1,5
神崎　秀陽⁵　　　 上山　泰男²　　　    池原　　進¹

(¹関西医科大学第一病理，²同　外科，³同　病理解剖，⁴同　中検病理，
⁵同　産婦人科，⁶大阪日本赤十字病院病理部)

要旨: ヒトパルボウイルスB19 (HPV B19）による胎児水腫の1剖検例を経験した。胎齢18週時に胎児水腫を指摘され胎齢20週で人工妊娠中絶となった。剖検時には著明な全身性浮腫を認め，右心室の拡張が認められた。組織学的には，肝における造血系細胞は減少しており，赤芽球には核内封入体が認められ，抗HPV B19抗体で陽性所見が得られ，TUNEL法でアポトーシスに陥っていることが証明された。

キーワード: hydrops fetalis, human parvovirus B19, anemia

An autopsy case of hydrops fetus induced by human parvovirus B 19

Takashi Miyake^1,2, Yasushi Adachi^1,3,4, Chiharu Kanamori⁵, Naoki Hosaka¹, Masayuki Shintaku⁶, Tomomi Mizokami^1,5, Hideharu Kanzaki⁵, Yasuo Kamiyama², and Susumu Ikehara¹

¹First Department of Pathology, ²Surgery, ³Anatomical Pathology, ⁴Surgical Pathology, and ⁵Gynecology, Kansai Medical University

(論文受付 2006年 7月14日)

(採用決定 2006年10月 2日)