症例報告

低形成髄で発症した急性リンパ性白血病の1例

武山　淳二¹　　　星　　能元²　　　佐藤　　篤²
今泉　益栄²

(¹宮城県立こども病院臨床病理科，²同　血液腫瘍科)

要旨: 症例は2歳女児。発熱と汎血球減少の精査のため骨髄検査を行った。骨髄穿刺はdry tapであった。骨髄生検の病理組織では低形成髄の中に所々細胞成分が密な部分が混在し，背景に細網線維の増生を認めた。細胞構成は多様で単調性に欠き，急性リンパ性白血病（ALL）の診断はできなかった。それから5週間後の骨髄生検ではリンパ芽球の明らかな増生が認められ，ALLと診断し得た。低形成髄を呈する白血病はこのように診断が難しいことがある。

キーワード: bone marrow, pancytopenia, dry tap, acute lymphoblastic leukemia, pre ALL

A case of acute lymphoblastic leukemia showing hypocellular bone marrow

Junji Takeyama¹, Yoshiyuki Hoshi², Atsushi Sato², and Masue Imaizumi²

Departments of ¹Pathology and ²Hematology and Oncology, Miyagi Children's Hospital

(論文受付 2006年 7月 3日)

(採用決定 2006年 8月11日)