症例報告

硬化性神経周膜腫の1例

松山　篤二¹　　　久岡　正典¹　　　磯田　英華²
戸倉　新樹²　　　金光　秀一¹　　　橋本　　洋¹

(¹産業医科大学医学部第1病理，²同　皮膚科)

要旨: 症例は8歳女児。右手掌に発生した約8 mm大の腫瘍を切除された。腫瘍は真皮に存在し，周囲との境界は一部不明瞭であった。硝子化を示す豊富な膠原線維間に類円形核を有する小型の腫瘍細胞が不規則に配列していた。腫瘍細胞の細胞質は不明瞭で，散在性に内皮の被覆を伴わないスリット状の空隙を介在していた。EMA, Glut-1, Claudin-1の免疫染色により線維状の細長い細胞質が明瞭に染め出され，神経周膜細胞の特徴が示された。以上から硬化性神経周膜腫と診断した。神経周膜腫の稀な亜型である本腫瘍の一例を報告する。

キーワード: sclerosing perineurioma, immunohistochemistry, EMA, Glut-1, Claudin-1

A case of sclerosing perineurioma

Atsuji Matsuyama¹, Masanori Hisaoka¹, Hideka Isoda², Yoshiki Tokura², Shuichi Kanemitsu¹, and Hiroshi Hashimoto¹

Departments of ¹Pathology and Oncology and ²Dermatology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health

(論文受付 2006年 5月26日)

(採用決定 2006年 8月11日)