症例報告

びまん性肺骨形成（diffuse pulmonary ossification; DPO）の1例

大山　秀樹　　　山根木康嗣　　　山田　直子
渡辺　博文　　　寺田　信行　　　中正　恵二

(兵庫医科大学病理学第1講座)

要旨: 肺にびまん性に微少骨が形成されるびまん性肺骨形成（diffuse pulmonary ossification; DPO）は，生前に診断されずに，剖検で初めて診断される例が多い。DPOの骨の形態は，樹枝状型（dendriform type）と結節型（nodular type）に大別される。結節型の骨形成を示すDPOは，肺のうっ血・水腫をもたらす心疾患の患者で認められる例が多い。糖尿病，高血圧，心房細動で通院加療中に，心不全，心房細動を発症し入院したが，腎不全，敗血症を併発して死亡した女性の剖検例で全肺葉に結節型のDPOを認めたので，この症例のDPOについて報告する。

キーワード: lung, ossification, heart failure, congestion

A case of diffuse pulmonary ossification

Hideki Ohyama, Kohji Yamanegi, Naoko Yamada, Hirofumi Watanabe, Nobuyuki Terada, and Keiji Nakasho

Department of Pathology, Hyogo College of Medicine

(論文受付 2006年 5月11日)

(採用決定 2006年 8月11日)