症例報告

陰嚢肉様膜に発生した平滑筋肉腫の1例

工藤　和洋　　　和田　龍一　　　板橋智映子
八木橋操六

(弘前大学医学部病理学第一講座)

要旨：症例は74歳の男性。陰嚢に隆起性腫瘤を自覚し来院した。肉様膜を含め切除された腫瘍の大きさは3.0×3.0×2.5 cmで，割面は白色で出血や壊死は認められなかった。腫瘍は紡錘形の細胞が束をなし交錯して増殖しており，肉様膜と連続していた。大型の奇怪な核を有する腫瘍細胞が多数認められた。異様平滑筋腫との鑑別が問題となったが，浸潤性増殖や核分裂が10高倍率視野で2個見られたため平滑筋肉腫と診断された。腫瘍は広範囲切除され断端に腫瘍細胞は見られなかったが，間質浸潤像も見られたため長期にわたる経過観察が必要と考えられた。

キーワード: scrotum, tunica dartos, leiomyosarcoma, mitosis, bizarre nuclei

A case of leiomyosarcoma arising from tunica dartos

Kazuhiro Kudo, Ryuichi Wada, Chieko Itabashi, and Soroku Yagihashi

Department of Pathology, Hirosaki University School of Medicine

(論文受付 2006年 1月11日)

(採用決定 2006年 6月16日)