症例報告

肛門に発生した線維上皮性間質ポリープ (fibroepithelial stromal polyp）の1例

岩佐　葉子¹　　　加川隆三郎²　　　羽賀　博典³
中嶋　安彬³

(¹洛和会音羽病院病理，²同　肛門科，³京都大学医学部附属病院病理部)

要旨: 44歳の女性の肛門より発生した線維上皮性間質ポリープの1例を報告する。排便と無関係に肛門より脱出する腫瘤を認めたため，痔核根治術が施行された。組織学的には径2 cm大の被膜を有さない結節性病変で，紡錘形細胞，繊細なコラーゲン線維よりなる間質，不規則に拡張した大小の血管の増生よりなる病変が扁平上皮直下まで進展していた。多核細胞を多数認めたが，著しい核異型や核分裂像は認めなかった。膣に好発する線維上皮性間質ポリープの典型的な組織像であり，免疫染色では病変部細胞はER, PgRに陽性であった。

キーワード: anus, fibroepithelial stromal polyp, lower female genital tract, soft tissue, immunohistochemistry

A case of fibroepithelial stromal polyp of the anus

Yoko Iwasa¹, Ryuzaburo Kagawa², Hironori Haga³, and Yasuaki Nakashima³

Departments of ¹Pathology and ²Surgery, Rakuwakai-Otowa Hospital
³Laboratory of Anatomic Pathology, Kyoto University Hospital

(論文受付 2006年 4月10日)

(採用決定 2006年 6月16日)