症例報告

線維形成性脂漏性角化症desmoplastic seborrheic keratosisの1例

上尾　哲也¹　　　加島　健司¹　　　駄阿　　勉¹
近藤　能行¹　　　秋吉　貴文²　　　横山　繁生¹

(¹大分大学医学部病理学講座第1，²秋吉病院)

要旨: 症例は89歳女性。左上腹部に径8 mm大の隆起性皮膚腫瘍を認め，切除術を受けた。組織学的には，少数の偽角質嚢胞，異型性に乏しい扁平上皮と類基底細胞の増殖から成る表皮肥厚，多数の渦巻き構造（squamous eddy）を認め，被刺激型脂漏性角化症に一致する組織像であった。このような像に加え，squamous eddyに類似した扁平上皮胞巣と線維化を伴う扁平上皮癌様の部分が混在していた。脂漏性角化症の癌化も疑ったが，上皮胞巣は周囲に進展することなく本来の部位に留まり，異型性も軽微な事より，線維形成性脂漏性角化症と診断した。

キーワード: skin, desmoplastic seborrheic keratosis, irritated seborrheic keratosis, squamous eddy

A case of desmoplastic seborrheic keratosis

Tetsuya Ueo¹, Kenji Kashima¹, Tsutomu Daa¹, Yoshiyuki Kondo¹, Takafumi Akiyoshi², and Shigeo Yokoyama¹

¹First Department of Pathology, Faculty of Medicine, Oita University
²Akiysoshi Hospital

(論文受付 2006年 2月24日)

(採用決定 2006年 5月19日)