総　　説

中皮腫の臨床病理　
—— 体腔液細胞診によるびまん性悪性中皮腫の
確定診断方法を中心に ——

前田昭太郎¹　　　片山　博徳¹　　　岩瀬　裕美¹
細根　　勝¹　　　内藤　善哉²

(¹日本医科大学付属多摩永山病院病理部，²同　病理学第二)

要旨: 難治性の胸膜中皮腫も胸膜肺摘除術により良好な治療成績が報告されつつあり，現在中皮腫の早期診断，早期治療のためにも体腔液細胞診による中皮腫の診断率向上が急務である。
   当院では過去1年間で中皮腫4症例（胸膜3症例，腹膜1症例）を経験した。これらの4症例では細胞転写法，セルブロック法を用い体腔液から多数の標本を作成し，免疫組織・細胞化学染色を行い中皮腫（びまん性悪性中皮腫）と確定診断した。
   そこで，臨床病理学的にびまん性悪性中皮腫を主体とした中皮腫の総説的な解説，考察を行うとともに，自験中皮腫4症例の概略を紹介し，体腔液細胞診における細胞転写法，セルブロック法による免疫組織・細胞化学染色の有用性について述べた。

キーワード: mesothelioma, cytology of body fluid, cell transfer method, cytospin method, immunocytochemistry

Clinical pathology of the mesothelioma
—A definitive diagnosis of diffuse malignant mesothelioma by body fluid cytology—

Shotaro Maeda¹, Hironori Katayama¹, Hiromi Iwase¹, Masaru Hosone¹, and Zenya Naito²

¹Department of Pathology, Tama-Nagayama Hospita1 Nippon Medical School
²Department of Pathology, Nippon Medical School

(論文受付 2006年6月 2日)

(採用決定 2006年7月21日)