症例報告

類骨形成を伴った淡明細胞型軟骨肉腫の1例

田口　周平¹　　　梅北　善久¹　　　益田　義幸²
小宮　節郎²　　　吉田　浩己¹

(¹鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍病態学，²同　整形外科学)

要旨: 53歳男性の右大腿骨骨頭から近位骨幹端にかけて発生した淡明細胞型軟骨肉腫の症例を経験した。組織学的には通常型軟骨肉腫の像に加えて，淡明な胞体を有する腫瘍細胞からなる分葉状増殖巣が認められ，一部には類骨形成および破骨細胞様多核巨細胞の出現を伴っていた。軟骨形成性骨肉腫，軟骨芽細胞腫あるいは骨芽細胞腫などとの鑑別が問題となったが，発育が緩徐で異型が弱く，淡明細胞型軟骨肉腫の診断に至った。

キーワード: clear cell chondrosarcoma, ordinary type chondrosarcoma, chondroblastic osteosarcoma, osteoid formation

A case of clear cell chondrosarcoma with osteoid formation

Shuuhei Taguchi¹, Yoshihisa Umekita¹, Yoshiyuki Masuda², Setsuro Komiya², and Hiroki Yoshida¹

Departments of ¹Tumor Pathology and ²Orthopaedic Surgery, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences

(論文受付 2005年11月25日)

(採用決定 2006年 3月 3日)