症例報告

Endocervical stromal sarcomaの1例

井上　理恵¹　　　泉　　美貴¹　　　永井　　毅¹
中村　　浩²　　　井坂　恵一²　　　向井　　清¹

(¹東京医科大学病理診断学講座，²同　産婦人科学講座)

要旨: Endocervical stromal sarcoma (ESS）は，子宮頸部の間質細胞に由来する稀な悪性間葉系腫瘍である。我々は，腫瘍細胞に分化傾向を欠くESS（WHO分類のundifferentiated endocervical sarcoma）の1例を経験したので報告する。
   症例は43歳女性。不正性器出血を主訴に来院。コルポスコピーにて子宮頸部に限局する腫瘤を認めた。生検後に，子宮広汎切除術が施行された。組織学的には，比較的均一で異型性に比較的乏しい紡錘形細胞が不明瞭な錯綜配列を示し増殖していた。核分裂像が多数（8/10HPF）みられた。免疫組織化学的検索では，異型細胞に特定の細胞への分化はなかった。術後2ケ月の現在，再発や転移はない。

キーワード: uterine cervix, endocervical stromal sarcoma, undifferentiated endocervical sarcoma, p53

A case report of endocervical stromal sarcoma

Rie Inoue¹, Miki Izumi¹, Takeshi Nagai¹, Hiroshi Nakamura², Kei-ichi Isaka², and Kiyoshi Mukai¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ²Obstetrics and Gynecology, Tokyo Medical University

(論文受付 2006年 2月23日)

(採用決定 2006年 3月23日)